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武士同士の対決は実と実との対決であるが、忍びが戦うときは常に自分は実であり敵は虚である。「正忍記」その5
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正忍記 その7/無門の一関の解説

〈武道選書〉
忍術伝書 正忍記


藤一水子正武著
中島篤巳解読・解説
新人物往来社 
平成八年八月二十日初版発行


以下、中島篤巳氏による解読・解説。



無門の一関の解説



ここは相手の真意を知る法である。


「人の心を読むことは困難の極みであり、秘密は余計に隠し込んでしまう。 それを開くにはまず世間話で相手を持ち上げるようにし、また相手が得になるような言葉で誘う。 本筋の糸口をつかんだらしっかりと握り締め、次第にたぐりよせる。

隠そうとするところが怪しい点であるので、そこを手を替え品を替えてわかるまで話題を重ねる。 もし自分が尋ねられる時は注意しながら相手の真意を探る。

諺に“問うには落ちず、語るに洩れる”とあるがこれはまさに名言で、忍びは質問する側に廻るに限る。

事を荒立てないように細心の注意を払い、知りたい事に似ている話題で糸口を掴むことが出来る。

敵の間者を見破るには次の点に注意する。

まずその者の志を探る。

本人の得にもならないことを知りたがったり、挙げ句の果てに不相応な道理や利口を話す者は、上役から教えられて来たと思わなければならない。 

本当に自分の知識から出た道理でなければ、話の内容が変わった時には対応出来なくなり、遂には本性を現す。

忍びの達人が心を読む時は、相手に読まれたということを最後まで覚らせない。

すなわち相手の警戒心という鎧を、知らないうちに突き刺すようなもので実に恐ろしい技である。

“人に理を尽くさする習い”(どこまでも相手の意見に同調して誘導尋問を加速する法)を習熟して、何の抵抗も感じさせず、気づかさないように術をかける。

自分が未熟で物事の道理がわかっていなければ、相手の術中にはまってしまうので注意が必要である。

自分は心に余裕を持ち、利を一杯に仕掛けて相手の欲望に訴え、敵の小さな隙も見逃さないように素早く機先を制する。

古歌に

おのずから利は有明の物なれば
ひらく扉に月ぞさし入る

夜明けは気持ちが緩み、空に残っている月を見て、その美しさに心の扉を開くと、その瞬間を突いて間髪を入れず月光はさしこむものだ。

決して何時も油断をしてはならない」



ここで注目すべきは項題の「無門の一関」である。


「門の無い関」すなわち目に見えない警戒心と解されるが、出典は中国臨済宗の無門彗開(むもんえかい)による宋代の仏書、「無門関」(一二三八年著)である。

さきに述べたが古流忍術に禅の思想が入り始めたのは安土桃山時代の頃と推測され、忍術が体系化され完成をみたのが江戸時代に入ってからのことであろう。

正忍記が書かれたのが延宝九年(一六八一)である。

忍び達は忍びの世界の厳しさを、禅の思想すなわち「無と空の境地に遊ぶ悟りの世界」に救いを求め、そこに忍禅一致を意識したのであろう。

無門関の第十九則に「平常心是道」というのがあり、修羅場を潜り抜ける忍びの生きかたにも相通じるところである。

無門の関を越えて相手に気づかれないまま心と秘密を読む。

また相手の心を自由に操ることも可能にする。

心理学的に対人コミュニケーションは相手の心理を読むための「道具」であるという。

そしてコミュニケーションで不満、不安、怒りなどの捌け口、すなわち「要求充足的機能」を期待する。

重要なことは、コミュニケイトするという単独目的より、相手の心を開かせる方が遥かに多いという点である。

忍びは相手に働きかけ、コミュニケーションを目的を得るための道具として使う。

そして目的達成のためには言葉、態度、贈り物などを慎重に選び、相手から情報を放出させる。

相手が情報の送り手に変わると、今度は相手の不満、不安などに上手に付け込み、コミュニケーションの「要求充足的機能」を利用しながら密かに誘導して目的を遂げる。

忍びが精力的に人と知り合うようにするのは、相手に自分が関係ないと認知されていたら情報の発信が抑制されるという性格を知っていたからであろう。


(『正忍記』、166~168頁)





『正忍記』
名取三十郎正澄/藤一水正武(ふじのいっすいまさたけ)丈夫著
巻頭言 勝田何救斎養真
延宝九年(一六八一)

解読・解説 中島篤巳
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[ 2013年03月26日 00:14 ] カテゴリ:正忍記 | TB(0) | CM(0)
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