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武士同士の対決は実と実との対決であるが、忍びが戦うときは常に自分は実であり敵は虚である。「正忍記」その5
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正忍記 その13/離術法の解説

〈武道選書〉
忍術伝書 正忍記


藤一水子正武著
中島篤巳解読・解説
新人物往来社 
平成八年八月二十日初版発行




以下、中島篤巳氏による解読・解説。



離術法の解説


これは正忍記最後の項目であり、奥義である。

「離術」の言葉はいわゆる忍術そのものをも否定しており、いささか驚かされるところである。

「本質から外れた目先の雑事小事にかかわってはならない」と始まる。

武士は主従の絶対的関係で成立しており、中世戦国の忍びもそれに組み込まれるようにして「真理」とは主君の命令であり、それは強大な力に裏付けされた「理」であった。

しかし平和な江戸期に書かれた正忍記や万川集海などは、真理をより高いところに求めた。

それはさきに述べたように「唯一絶対の理」であり主君によって変えられるものではないところにある。

まさに「道理に向う刃なし」である。

正忍記は続いて

「物事がうまくいかないのは、本質的な価値を見失って私利私欲に惑わされるからである。 本心正しく欲に走ってはならない。 極理を悟って、その力に驚くことがないように」

と言い、ここに人間としての理を求めている。

儒教精神で結ばれた武士の固い主従関係とは違って、忍びと主君との絆は細い。

だからこそ世事のたいていが「雑事」であり、その中から本質を見極めないかぎり本気でかかわる価値もない。


さらに

「敵を無闇に恐れるのは敵の真の姿を知らないからである。 

達人は自分の考えや先入観、感情などを捨て、冷静に敵の心に従いながら敵を読み、機をうかがう。

焦ってはならない。

いったん失敗したら取返しがつかなくなるどころか、心まで棘のある枳穀(からたち)の林に踏み込んだようになる」


と続く。

これは万川集海の

「忍術の三病は一に恐怖、二 敵を軽んず、三 思案過ごす。 この三を去りて電光の如く入る事……。 
忍歌に “得たるぞと、思い切りつつ忍びなば、誠はなくと勝は有るべし”」


と本質的に同じである。


正忍記はさらに

「身心を固めて敵を威圧し、従わすのに“飛鳥の位”というのがあり、これは鷹が空を舞う時は他の鳥は下の方で怖がってすくんでしまうことに由来し、その勢いのなせる技である」

と続く。

この事は武術一般、多方面で言われていることである。

たとえば伯耆(ほうき)流の流祖である片山伯耆守久安は豊臣家の武術指南役を務めた剣豪であるが、彼の武術の理念は「戈止之筋(かしのすじ)」といって相手と刀を交えることなく、武術で固めた威圧で相手に刀を抜かせないように心掛ける。

※片山伯耆守久安(かたやまほうきのかみひさやす:1575~1650)



もし刀を交えたら何らかの形で自分も傷つくことになり、負けであるとして神武不殺の思想を重視している。

これは正忍記の「飛鳥の位」とまったく同じ武の哲学である。


機は戦いの生命線である。

「また熟果が枝からすぐに落ちてしまうのと同じように、丁度よいという頃合いはすぐに消えてしまうものである。 かといって取りかかる時期が早過ぎると余分な事までしなければならなくなるし、遅すぎると後手に回ってしまう。 頃合いということをよく心得ておかねばならない」


として、機をとらえることの難しさと重要性を解いている。

さらに、

「敵に対した時、自分に備えがなければ、一太刀(ひとたち)ならぬ一舌を浴びせる。 気力が通じれば心の妙剣が敵を防ぎ、切迫した危険を回避することが出来るものである。 刃がなくても人を殺し、薬がなくても人を蘇らす、すなわちこれを一舌の大事という。

心がよくかなう時は剣刃の上を歩いたり、氷の丘でも走ることが出来るなど、無我になり心を集中すれば一見不可能と思われることでも可能になる」




とその瞬間の真理を捉えた「心の力」の重要性にふれている。

そして極意伝は「これは忍びの上手に敵無く子孫繁栄の書である」

と結んで終る。


(『正忍記』193~194頁)





『正忍記』
名取三十郎正澄/藤一水正武(ふじのいっすいまさたけ)丈夫著
巻頭言 勝田何救斎養真
延宝九年(一六八一)

解読・解説 中島篤巳
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[ 2013年04月09日 20:30 ] カテゴリ:正忍記 | TB(0) | CM(0)
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